農水省の国産有機サポーターズ活動事例集で、マルカワみそがご紹介されました
国産有機サポーターズ活動事例集VOL.11 マルカワみそ
マルカワみそ株式会社 常務取締役 河崎紘徳さん
「美味しいと感じる時、怒っている人はいません。
ああ美味しい…と全身で味わう至福の時に、
人は、生きていると実感するものだと僕は思うんです。」
【マルカワみそとは】
マルカワみそは、福井県越前市にある、100年以上の歴史を持つ味噌蔵です。1772年(安永2年)に福井県武生で初代が米作りを始め、1914年(大正3年)に現在の場所で麹造りを開始して、今に至ります。現社長の河崎宏さんは9代目の当主。今回は、宏さんの息子で常務取締役の河崎紘徳さんにお話をうかがいました。「とにかく美味しいものを食べることが大好き」という紘徳さんは、辻調理師専門学校で学び(卒業時は卒業生代表として答辞を述べたそうです)、料理人として大阪の日本料理店で修行をした後、2007年にマルカワみそへ入社。 2015年には福井県最年少でみそ一級技能士の試験に合格しています。
【有機への取り組み ~ 一般女性の母乳から農薬の成分が 】
社長の宏さんは、高校卒業後、東京農業大学醸造学科に進学。在学中、食品汚染に警鐘を鳴らした郡司篤孝氏の本を読んだことが、食の安全性について深く考えるきっかけになったといいます。そして、ある新聞記事で“ごく一般的な食生活を送ってきた女性の母乳から農薬の成分が検出された”という事実に大きな衝撃を受け、「食べものを“お金を儲ける手段”ではなく“命の糧”ととらえて仕事をしていかなければならない」「卒業後、自分はどうしても無農薬の味噌を作りたい」と思うようになったそうです。先代からは「有機や無農薬で商売をするのは難しいぞ」と言われたそうですが、「“いま売れているもの”や“作る側にとって都合の良いもの”が、必ずしも食べている人たちにとって良いものだとは言えない」という確固たる思いがあったため、以後、長年にわたって有機に取り組み、試行錯誤する日々が続くことになりました。
【ひたすらに“有機”を追い求めて】
1991年頃は有機の生産者がとても少なく、また、栽培の基準が曖昧で不透明なケースも多い時代でした。そこで、自分たちの手で米や大豆を作ろうと、農業法人を作って自社農園を運営。安心・安全を訴えるには客観性が必要であるとの考えから、認証機関の草分け的な存在であり、米国に本部を置くOCIA( Organic Crop Improvement Association)によって有機認証を取得しました。さらに、有機JAS法施行後まもない2001年、北陸の味噌業界では初の有機JAS認定工場に。…とはいえ、初めのうちはなかなか売り上げが伸びず、苦しい経営を強いられたといいます。味噌メーカーとしての会社経営と農業法人としての活動の二足のわらじに追われる8年間を過ごした後、宏さんはとうとう身体を壊して入院することに。その頃には、有機農産物の生産者が全国に増え始めていたため、原材料の栽培はそういう方々に任せようと、農業部門からは撤退しました。
【より理想的な“有機”へと】
その後、安全な食を求める消費者の増加にともない、マルカワの有機味噌が少しずつ評価されるようになりました。2010年からは農業部門も再開しました。「有機栽培といっても、生産者の考え方や技術によって内容やレベルはまちまちです。化学物質を使用していない有機質の肥料であっても、過剰に使用すれば窒素過多になって土壌や地下水を汚染し、人の健康を害することにもなりかねません。そのようなことを防ぐため、現在は、動物性の肥料を使わない農法や、肥料そのものを使わない農法(一般的に自然栽培と呼ばれる農法)で育てた原材料の取り扱いが増えています」と紘徳さん。ちなみに、気になる味については、自然栽培原料の味噌は“雑味がなくすっきりした味”に仕上がるようだということです。
【“安全・美味しい・幸せ”を、より多くの方々へ】
現在は味噌だけでなく、「有機三五八漬け(さごはちづけ)の素」や「有機玄米あまざけ」、「自然栽培ぬか床の素」、様々な加工品も手掛けるマルカワみそ。「私達は正直さを信念にみそ作りを通じて「食の安全」と「健康」に貢献する企業を目指し続けます。また積極的な情報発信を心がけていきたいと考えています」と紘徳さんは言います。さらに、望ましい食生活を送るためには幼い頃からの食育が大切であると、今後は小学校でのお味噌づくり教室なども企画していきたいとのことでした。
WEBサイト&WEBショップ:https://marukawamiso.com/
社長の動画「なぜマルカワみそが有機の味噌を作り続けるのか?」
https://www.youtube.com/watch?v=7I6dv79BrcI&t=41s