【味噌マガ】麹つくり

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■当たり前のことをいつまでも当たり前に…

越前有機蔵マルカワみそ
【味噌マガ】麹つくり

蔵の菌と共に夢を醸す”味噌マガ”

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味噌マガ読者の皆様
こんにちは。マルカワみその河崎紘一郎です。

10月になりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
こちら、福井ではお米の収穫が最後を迎えています。スーパーでも令和7年度産のコシヒカリが店頭に並びました。
レジに並んでいたときに聞こえてきた老夫婦の会話が印象的でした。

「新米コーナーに行ってきたけど、高すぎてあかんわ。」

考えさせられる言葉でした。
近江商人は売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方良し」を心がけていました。
日本の主食であるお米は、生産者と消費者、そして国をつなぐ大切な存在です。お米だけでなく、三方の在り方が問われている気がします。

今回は「麹つくり」というテーマでお届けいたします。
どうぞ、最後までお付き合いくださいませ。

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◆麹つくり

麹つくりは、味噌や醤油、日本酒に欠かせない、日本の食文化を支える大切な技術です。千年以上にわたって先人たちが築き上げてきた伝統であり、近年では日本独自の発酵食品は世界からも注目を集めています。

ところで味噌マガ読者の皆様は、麹ができる過程をご存じでしょうか。
簡単にいえば、お米に麹菌を振りかけると麹菌が繁殖して出来上がるのですが、完成までには、温度管理のタイミングが大切になります。

麹を作るために必要な麹菌ですが、実はとても“おっちょこちょい”な性格をしています。
麹菌は、繁殖・増殖する時に熱を出すのですが、その熱で自分自身が死んでしまうほどに弱ってしまうのです。
そこで、私たち蔵人の役割が必要になります。麹菌が元気に育っていけるように温度や湿度を適切に整え、手をかけることでようやく麹が出来上がります。

実は今年の春ごろから、農業の大豆づくりの傍ら、麹の出来具合も自分で手掛けるようになりました。
なんだか昔の造り酒屋で働く蔵人のようで、不思議な気持ちです。きっと昔の杜氏さんたちはこんな感じだったのかな?と。

良質なお味噌をつくるためには、良い原料が欠かせません。特に大豆は、味噌の味わいを大きく左右する大切な原料です。

そして、同じくらい重要なのが「麹つくり」です。
味噌づくりには、昔からこんな格言があります。

「一、麹(きく) 二、炊き 三、仕込み」

味噌の工程に「ここは手を抜いてもいい」という部分は一つもありません。
けれども、この言葉には「まず麹の良し悪しが大切で、次に大豆の炊き具合、最後に仕込みの塩梅が重要」という意味が込められています。
ただ、地方や蔵元によっては「一、炊き 二、麹 三、仕込み」と語られることもあります。
私自身も、この考え方にとてもうなずける部分があります。というのも味噌の品質を安定させるには「大豆の炊き加減」こそが要のひとつだからです。

「結婚生活は愛が大事?それともお金?」

そんなふうに話題になることがありますが、実際にはどちらか一方だけではうまくいかないものです。
味噌づくりもそれと同じで、「麹も大豆も、どちらも同じくらい大切」なのです。格言ひとつでも奥が深いですね。
メジャーリーガーの大谷選手が「投げること」と「打つこと」の二刀流に挑戦しているように、私も「大豆づくり」と「麹づくり」という二つの大切な役割に挑戦しています。
投げても打っても結果を出す大谷選手には遠く及びませんが、「原料から麹まで」を自分の手で取り組むことで、味噌づくりの奥深さをあらためて感じています。

大豆や麹、そしてお味噌はいつも小さな声で私たちに語りかけているように感じます。
しかしながら、未熟な私には、その声のすべてを聞き取ることは至難の業です。
赤ちゃんの泣き声を聞いた親が「お腹がすいたのかな?」「オムツかな?」「眠たいのかな?」と自然に感じ取れるように、私も発酵の世界において、耳を澄ませばそれぞれの声を感じ取れるように、感性を磨きたいものです。
農業に携わって数年、ようやく大豆が放つ“ささやき”をほんの少しだけ感じ取れるようになりました。
しかし、麹やお味噌と心を通わせるための道のりは、まだまだ、まだまだ、遠く曲がりくねっているようです。おっちょこちょいで引っ込み思案、しかもツンデレ気質な彼らの性格は、いまだによくわかりません…。一歩一歩、身体の重い亀のように歩んで行き、いつの日か、まるで通訳さんのように、胸襟を開いてペラペラとお話できる感性と技術を身につけたいものです。

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立ち上がる 鶴のひとこえ 蝶の舞 国の宝も 夢のまた夢

先日、劇場版『鬼滅の刃』を観に行きました。
私は「せっかく映画館に行くなら『国宝』を…」と思っていましたが、娘の“鶴のひとこえ”で予定はあっさり変更になりました(涙)
しかし、観終わった後には心が大きく揺さぶられていました。映画館を出るときには「観てよかったな」と爽やかな余韻に包まれ、気持ちがすっきりしました。

特に印象に残ったのは「胡蝶しのぶ」の場面です。逆境に立ち向かいながら決意を胸に立ち上がる姿は、責任を背負う覚悟と、前に進む力を感じました。声優・早見沙織さんの演技も、その強さをより鮮やかに伝えてくれていました。

この映画から、改めて「強さ」について考えさせられました。強さとは、他者を打ち負かすことではなく、弱さを抱えた自分と向き合うことだったり、一歩でも前に進もうとする気持ちだったりするのかもしれませんね。
日々の仕事にもつながる大切な気づきをもらえた映画でした。

…とはいえ、『国宝』を観るのはいつになるやら。地上波に期待でしょうか(笑)

長文を最後までご覧いただき、ありがとうございます。
次回の味噌マガもお楽しみに。

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